人は、何かを買うために生きているわけではない。よい人と出会い、よい人生を送るために生きている。そこに、消費者があえて口にしない、真の欲求がある。

ビジネスお役立ち知識

沈黙と雄弁の営業術

「沈黙はは金、雄弁は銀」。これはトーマス・カーライルの言葉で、「雄弁であることは大切だが、沈黙の効果を心得ていることはさらに大切だ」という意味で知られています。ところが、実は逆の意味だという人もいます。古代ギリシャ・アテネの雄弁家デモステネスの言葉だとする説によれば、当時のギリシャは金よりも銀のほうに価値があったので、「沈黙が有効な場合もあるが、言葉による説得力には及ばない」と理解するのが正しいというのです。

営業や交渉においては、その場の主導権を握った側に有利な展開が望めます。相手に圧倒的な好条件を提示できれば主導権を握るのは簡単ですが、お互いのやりとりの中で交渉を進めていく場合がほとんどでしょう。そのとき、相手の反応がいまひとつだったり話に詰まってしまったりすると、場慣れしていない営業マンは焦って間違いを犯します。本当なら相手に口を開いてもらうべきなのに、自らが言葉を重ねてしまうのです。しかし、自分に主導権がない場面でいくら雄弁になっても「金」にはなり得ません。

そんなときは沈黙こそ「金」です。モノを勧める立場の営業マンが黙ると、相手は「おやっ?」と思ってこちらに注意を向けます。黙っている営業マンの心中はハラハラかもしれませんが、穏やかな表情で沈黙していると落ち着いた態度に見えるようで、そのうち相手が沈黙に耐え切れなくなり口を開くでしょう。とくに大事な話の前にはあえて沈黙し、こちらに注意を引きつけてから切り出すと効果的です。

顧客の沈黙にも意味があります。迷っているのか、それとも熟慮しているのか。よく考えているなら「良い沈黙」なはずです。営業マンがヘタに話しかければ顧客はうっとうしく思い、決まる契約も白紙に戻ってしまうかもしれません。

営業術=雄弁さであるという誤解はいまだによくあります。営業術は、顧客の沈黙の意味を視野に入れ、こちらの切り出すタイミングや注意の引き方まで考慮したときにはじめて真の営業術となります。

 

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