人は、何かを買うために生きているわけではない。よい人と出会い、よい人生を送るために生きている。そこに、消費者があえて口にしない、真の欲求がある。

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意味のある「ムダ」が利益を生む!

今、あえて無駄を持つ会社が注目されています。
なぜなら、その非効率さが大きな利益を生むからです。

効率化はある意味、大切です。
しかしすべてを効率化してしまうと、行き着く先は、他社と同じになってしまいます。
他社も同じように効率化を目指すからです。
特徴が求められる現在において、「他と同じ」「似ている」というのは、死を意味することになる・・・

なぜ、無駄が利益を生むのか?
分かりやすい事例をお話します。

小売業はこれまで商品の納入を運送業に委託してきました。
そのほうがコストも手間がかからないためです。
これがいわば、効率化です。

しかしその効率化が自らの首を絞めることになりました。
物流を効率化することによって、店舗での品揃えがフレキシブルに行えなくなったからです。
敷島パンや衣料品小売りのしまむらは、そのことを予見して自社配送を貫きました。
あえて、商品納入の手間を外注には出さなかったのです。

おかげで常にお客が欲しがる商品が店頭に並び、品切れを起こさず、
しかも在庫を過剰に抱えることがなくなりました。
売上は伸び、利幅は厚いまま保たれました。
つまり、物流のわずかなコストと引き換えに、顧客のニーズに的確に応えて大きな利益を出したのです。

スターバックスも「効率的」なるものを手放しました。
他店舗展開する際に、フランチャイズ展開をしなかったのです。
だから、出店にとても月日がかかる。
しかし、景気が悪くなっても利益を堅く出せる理由がそこにある。
出店の効率よりも、1店1店のクオリティを高めるための「手間」を優先したわけです。

一方、マブチモーターは自分のモーター作りを効率化して失敗しました。
モーター作りを規格化して簡単に作れるようにしたのです。
それによって一時的には生産コストのカットになりましたが、
最終的には、他社の容易な参入と製品価格の下落を招き、ご破算になった。

この構図は住宅業界も同じです。
ローコスト住宅の規格化で多くの工務店が一時的に儲かった。
しかし、規格化によって誰でも簡単に作れるようになり、新規参入が急増し、そして消費者には飽きられた。
これが効率化による弊害です。

商品やサービスの売り方においても、効率化による弊害が起こっています。
これまで、多くの会社がいかに手間をかけずに売るか、ということに腐心してきました。
販売方法の効率化です。
つまり、広告やインターネットを使い、一気にお客を集める。
セールスせず、文章の力だけで売る。
通販的なこのお手軽な方法に皆が飛びつきました。

その結果どうなったかといえば、皆が同じ売り方をするようになってしまった。
広告もサイトもセールストークも同じ。
会社の理念さえも妙に似てたりする。
これで自分だけが売れたらそれこそ不思議です。
つまり、「通販的でお手軽な売り方」という効率の良さと引き換えに、
特徴のない会社を大量に生み出してしまったわけです。

ムダを持つ。それが利益の源泉となる
売れない時代、市場が細分化していく時代のキーワードです。

しかし、ただのムダは意味がありません。
大切なことは、利益の出るところに手間をかけること。
他社がマネできなくなることを狙って、手間をかけること。

「馬鹿だね~、なんでワザワザそんなことやるの?」
そのことが競争力になる。
これをクリティカルコアと言います。
要するに「損して得とれ」的なことです。

そういう意味で、お客との接点さえも減らして効率化してしまうことに、
果たして販売側としてメリットがあるのかどうか・・・
顧客との定期的な接点、ちょっとしたケアに、わずかなコストがかかる。
しかし、そのわずかなコストと引き換えに、大きな商機をミスミス逃すことになるのではないか・・・

私たちはもう一度、売上を伸ばし、利益を出すために、
どこに手間をかけるのがベストなのかを考え直す時期に来ているように思います。

 

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