人は、何かを買うために生きているわけではない。よい人と出会い、よい人生を送るために生きている。そこに、消費者があえて口にしない、真の欲求がある。

今の消費者を正確にとらえる

警戒心と疑念でいっぱいの消費者たち

今のような混沌として先の見えない時代においては、お客はなじみのある会社からモノを買うようになります。
なぜなら、あらゆる信用が低下した状況の中で、人々の気持ちが警戒心でいっぱいになるからです。
「安物買いの銭失いになりたくない」「おかしな人間にだまされたくない」という気持ちを非常に強く持つようになります。

不景気になればなるほど、社会が荒れれば荒れるほど、人々の気持ちは保守的に凝り固まっていきます。
そんなときに、どんな相手に気持ちを惹かれるかというと、日ごろから自分に対して愚直につながりを持ち、マメな対応を行ってくれる相手です。
このような感情を持つ今の消費者に「説得」を試みることは愚かなことです。
説得すればするほど嫌われるからです。
しかし売るためには自分の商品のよさや価格について説明しなければならない。

実は、説得しなくても品質や価格に対して高い評価をしていただく方法があります。
それが「お客となじみの関係になる」ということです。
人は、相手になじみを感じると、その人の持つ商品や価格に対しても高い評価をするようになります
なぜなら、そもそも商品の品質も価格もすべて気分的なものに過ぎないからです。
物事に、絶対的な評価基準があるわけではありません。
従って、その相手が好きなら高評価。嫌いなら低評価という判断をお客は下すようになります。
いくらよい商品を持っていても、低価格でも、好かれていなければ、それはよくない商品であり、高い買い物であるとお客は判断するようになるわけです。

最初に自分のポジションをどこに置くかですべてが決まってしまいます。
説得するポジションをとるのではなくなじみのポジションをとる。
「なじみ」が警戒心を解き、品質や価格に対する疑念も消し去っていく。
だからこそ顧客対応を心得ている街の電気店が繁盛し、お客は気持ちよく買う。
これが地域密着営業の本質ではないかと思います。

 

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