ビジネスお役立ち知識
成果の上がる仕事の任せ方
「部下に任せるより、自分でやったほうが早く成果は出る」
このような仕事を、どこまで部下に任せるか・・・。これは、上司としてのマネージメント力が試されるシチュエーションのひとつでしょう。経験を積まなければ能力は伸びないと分かっていても、仕事の効率やアフターフォローの手間を考えると、つい自分でやってしまいたくなるものです。管理職でありながらいつまでも現場が好きな上司も、なかなか仕事を手放さないクチでしょう。けれどやはり、上司が「任せる」勇気を持たないと部下は育ちません。
部下に仕事を任せるのは業務上の必要はもちろん、業務を通じてキャリアアップでき、責任を負うことで仕事に対するモチベーションが上がり、やり遂げたときや、成果が出たときには自信がつくといった内面の成長を促すことにつながります。そんなことは当然お分かりでしょうが、実際キャリアの浅い社員に責任ある仕事を任せるのは簡単なことではありません。
まず、どこまで任せるかが難しいところです。思い切って全部任せてしまい、上司は全体の流れを見ながら、それとなくフォローをするのが理想だと言うマネージメントの専門家もいますが、理想は理想です。語学を例にすると、自分の実力+αのレベルから始めるのが最も効率良く習得できると言われるように、その社員の実力より少しレベルの高い範囲で仕事を任せるのが現実的ではないかと思います。
もうひとつ、任せた成果が思わしくなかった場合の心配もあります。しかしこれは、想定内のことだとあらかじめ割り切っておいたほうが良さそうです。最初から80点を出してもらおうと思うから不安なのであって、60点の成果が出たらそこそこだと考えておけば、任された社員も必要以上のプレッシャーを感じずに伸び伸びと仕事に取り組めるでしょう。勝負はむしろ、部下のマイナス40点を“上司”がどう次にいかすかです。人材育成は寛容と忍耐の連続でも、「任せる」勇気は上司の成長にもつながるだろうと思います。