ビジネスお役立ち知識
優秀な社員をダメにする「慣れ」という魔物
スピードが鈍るとき。物事が止まるとき。我々に何が起こっているかといえば、多分「思考停止」です。なぜ思考停止するのか。理由は「慣れ」だろうと思います。
ビジネスでは先の展開が読めるかどうかが重要です。見通しが立てば果敢に攻め、逆ならリスクをとって別のアプローチを検討する。場合によっては、先が読めないからこそ商機ありとの考え方もできます。いずれにしろ「予測」は次のステップになるはずです。
ところが個人の場合、「予測」が次のステップを阻む原因になってしまうことがあります。例えば、新しい職場に配置された社員は、緊張感のある毎日のなかで仕事を徐々に覚え、目標をひとつずつクリアしていくことで達成感を味わい、その成果が評価されたら自信を得られるでしょう。ここまでの段階では社員の思考はフル回転し、次々とステップを上っていく「予測」がさらなる成長の糧になります。しかし、ある程度仕事ができるようになった頃、「慣れ」という魔物が社員に住み着いて、耳元でこうささやきます。
「そんなに頑張っても給料は同じだろ?」
手抜きと要領の良さは別物です。ここで仕事の手を抜く社員には根本的な教育が必要かもしれませんが、要領良く仕事をこなして新たな仕事を覚えようとする貪欲な社員に次のステージを用意できないと、「慣れ」という魔物がさらに社員を蝕んでいきます。
「1年後も3年後も、どうせ今と変わらないさ」
やる気に満ちていた優秀な社員は今と変わり映えのしない自分の将来を予測して、「こんなもんか」と思った瞬間から思考停止に陥るでしょう。退屈さが想像できてしまう予測に意欲をそがれるのは当たり前です。
人は慣れやすいものですが、毎日刺激に満ちた仕事ばかりではありません。だからといって、「どうせ将来もこんなものだ」と思ってしまうような環境に社員を長く置いておくと、どんな優秀な人材でも「慣れ」の餌食になって、手抜きをするようになってしまうかもしれません。