人は、何かを買うために生きているわけではない。よい人と出会い、よい人生を送るために生きている。そこに、消費者があえて口にしない、真の欲求がある。

売れない時代における商売の方向性

縁故マーケティングが復活してきている

この10年、多くの会社を潤わせてきた売り方が2つあります。
お客をつかまえる、刈り取るという狩猟的なマーケティングとインターネットマーケティング。
この2つがうまくかみ合って様々な分野の多くの会社がお手軽に利益を手にしました。
しかし、それがうまくいかなくなりました。

ここで言う狩猟的な売り方とは、15年ほど前にアメリカから入ってきた売り方のことです。
お客を魚でも釣り上げるかのように集客し、トーク術で誘導的にセールスする。
商品を過大に演出して利幅を大きくし、トリック的に買わせる。
消費者をターゲットなどと呼び、まるで戦争でも仕掛けるかのように販売戦略を立てる。
このような売り方の根底には「相手を操作する」という考え方があったことは否定できません。
最も恐れるべきことは、その狩猟的な考え方が様々な面ににじみ出るということです。
お客はそれを敏感に察知します。
だからどんなに魅力的な言葉を投げかけても振り向かず、よい提案をしても信じないという現象を引き起こす。
これでは衰退していくのも頷けます。

今、売り方の原点回帰が始まっています。
例えば、農協。80年代の農協は、非常に強い販売力がありました。
顧客とのつながりをコツコツと持ち、生活に寄り添い、マメな対応で地域の人々の心をガッチリつかんでいた。
顧客の頭の中には「農協」の二文字が常に存在し、まさに顧客の生活と精神に溶け込んでいたわけです。
その関係の中に他社が入りこむ余地はまったくありませんでした。

しかし農協は90年代に入って、この関係を捨ててしまいました。
当時、流行りだしていた、通販的でシステマチックな売り方へシフトしたのです。
そのために彼らは苦しい状況に追い込まれた。
そして今、農協は原点へ戻ろうと、必死になって個別のお宅の掘り起こしを行っています。
彼らはもう一度、顧客との一体化を図ろうとしています。
お客とつながりを持ち、生活に寄り添い、記憶に残り、1対1で向き合い、
なじみを中心とした血の通った付き合いをはじめようとしています。

過去を振り返れば、売り方というものは10年おきに変わってきました。
70年代はある意味、何もしなくても売れた。
80年代は縁故関係を辿れば売れた。
90年代は広告宣伝のうまい者が売れた。
2000年に入るとインターネットマーケティングや消費者の心理を操るのがうまい者が売れた。
2010年に入ると効果的な売り方が無く、結局、原点である縁故マーケティングの効果に皆が気づき始めた。

そのことは時代が後押ししているようにも思えます。
つながり、利他心、シェア、もてなし、社会貢献・・・
出てくる言葉のほとんどが、人と人との関係性を現すものばかりです。
私たち商売人は、もう一度、人と人との生のつながりを中心とした商いを行う時期に来たのかもしれません。

 

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