人は、何かを買うために生きているわけではない。よい人と出会い、よい人生を送るために生きている。そこに、消費者があえて口にしない、真の欲求がある。

売れない時代における商売の方向性

商売は情報化モデルから宗教化モデルへ

これから商売は宗教化していきます。
一言で言えば、「その会社が好きで人が集まり、その会社の商品を喜んで買っていく
これが、すでに始まっている、商売における宗教化モデルです。

宗教はその実態、構造を知れば知るほど、世の中のあらゆるものが宗教に見えてきます。
一般的には宗教が特殊な前提の上に成り立っているように、
ほかのものも、実は同じように根拠の不確かな前提の上に成り立っていることがあります。
つまり「相手に期待をかけること」そのすべてが信仰なのです。
私たちは時代の流れを正確におさえておく必要がある。
これからの商いは、情報化モデルから宗教化モデルへと移行していきます。
今はその過渡期にあります。

従来の情報化モデルでは、消費者は「情報」を元にモノやサービスを買ってきました。
テレビコマーシャルを見て買う。
折込チラシや新聞広告を見て買う。
インターネットで検索して気に入った業者を見つけて買う。
ネット内で他人の評判を調べてから買う。
売るほうもこれに合わせて、広告宣伝を学び、インターネットで上位表示する努力を行い、サイトを演出し、
言葉で誘導し、または魅力付けして売ることを行ってきました。

一方、宗教化モデルの購買行動とは、その会社が好き、その会社に関わっていると安心する、気分がいい、
という価値観でその会社の商品を買います。
今後は益々このような購買行動を消費者はするようになります。
なぜなら人々は、情報化社会に飽き、疲れてきたからです。
昨今「消費者のソーシャル疲れ」などという記事が雑誌の紙面を飾っていました。
お客は買い物のために情報を探したり評判を探し回ることに疲れたというのです。
結局、人様の評価をどんなに聞きまわっても、本当のことはよくわかりません。
事実、私たちもアマゾンで本を買う際に読者レビューを見ますが、
書かれていることは賛否両論で真実はよく分かりません。

今、多くの人が、情報に振り回される愚かさに気づいてきました。
やはり最終的には、自分がその筆者を好きかどうかで買う
信じられるかどうかで買う

ここに、情報化社会が終わり宗教化社会へ移行している片鱗が垣間見られるわけです。

歴史を紐解いても、いつまでも同じトレンドが続くことはありません。
現在の情報の洪水に嫌悪感を持つようになった人々は、益々日ごろから知っている会社へ向かうようになる。
効率的、合理的な思考を停止させ、ただ「知っている」というだけの理由でその会社へ足を向けるようになる。
そこには「商品の価格や品質がどうなのか?」という、ギスギスした経済合理性は希薄です。

つまり、日ごろからのつながりによって消費者の記憶に残り、一定の信頼を得ていく者が、一番売れる。
私たち中小企業は、ようやく「地道にお客と関係を育む者がむくわれる時代」を迎えたと言えるのです。

 

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