通常の8.3倍もの新規開拓を実現した生の成功事例。
その1 一言もしゃべらずに、住宅を3ヶ月で2棟売った。
私は以前、長野県の燃料会社で営業の仕事をしていました。新築するお宅へ訪問し、プロパンガスや灯油、ガソリンなどの、各種燃料製品の供給契約を取るのが私の仕事でした。既存客には、ボイラーなどの住宅設備やリフォーム工事の営業もしていました。しかし、当時の私には、とても苦手なことがありました。それは、営業です。営業マンが営業を苦手なのですから話になりません。 実は私には、ちょっとした持病がありました。それは、体調によって自分のしゃべる声が聞こえなくなるのです。自分の声が聞こえないと発音が悪くなり、お客さんにきちんと意思を伝えることができません。よく飛行機に乗ったときなどに、気圧の関係で耳がふさがれた感じになりますが、それと同じ症状が日常的に起こるのです。営業マンは語ることが命です。自分の意思を伝えられないというのは、致命的な欠点でした。つまり私は、まったく営業に向かない人間だったのです。
しかし私は、ちょっとしたことから、おもしろいように受注できる方法を考え付きました。自分がしゃべらなくても、受注できる方法を見つけたのです。その日を境に、私はトップセールスマンになりました。おかげで、ガスの新規受注は大幅に伸び、普通の会社が月に2~3件受注するところを、16件以上をコンスタントに受注していました。これは地域シェアの、実に60%を私一人で占めていたことになります。 私は、この独自の営業方法で、最後には住宅まで売ってしまいました。しかも、わずか3ヶ月で2棟です。これは信じられないと思います。無理もありません。私も信じられないからです。
そもそも、燃料屋の営業マンが、どうやって家を売るのか? 実は、私が行っていた営業方法を住宅販売向けに転用し、近くの工務店に持ち込んだのです。「セールスしなくても家を売る方法があります。興味ありませんか?」 1本のメールをうちました。その会社の社長は、私の提案にすぐに乗ってきました。何度か打ち合わせをして、すぐに実行!3ヵ月後に2棟の新築請負契約を取ったのです。 もちろん最終的に契約したのは、その工務店の営業マンです。私は建築に関してはまったくの素人なので、契約などとれるはずがありません。しかし、営業マンの前にお客さんを連れてきたのは私でした。しかも、買うか買わないか分からないお客さんではありません。「お宅の会社で家を建てたいんです」という、すぐに契約のハンコを押すお客さんを、目の前に連れてきたのです。 私はそのお客さんと、会ったことも話したこともありません。独自のやり方で、この会社の住宅を買う気にさせたのです。
つまり、ガスの契約を獲得するのも家を売るのも、ツボは同じところにあったのです。 この営業方法は、決して難しいものではありません。誰でも出来る、極めて簡単な方法です。そして、あらゆる商品、業界でも、同じような成果を期待できる方法だと思います。ぜひ、あなたの新規開拓のためのヒントとして活用してください。
その2 他社とまったく差別化できない商品を、誰よりもたくさん売るには?
私が行った営業方法をお話しする前に、プロパンガスの新規客を獲得するという仕事について、 少し語らせてください。ガスは、売りにくい商品の代名詞のような商品です。ガスの売り方が分かれば、あらゆる商品を楽に売れるようになると思います。なぜなら、他社とまったく差別化できない、しかも、まったく魅力のない商品を、誰よりもたくさん売る方法が分かるからです。
プロパンガスの供給契約を取る場合、定石の営業方法というものがあります。まず、業界新聞に掲載される建築確認申請のリストを見て、新築するお客さんをリスト化します。次に、電話でセールスするか、直接お宅に訪問して“お願い営業”をする。 「今、新築されているようですね。ガスや灯油の供給は、ぜひともうちでやらせてください」 するとだいたい「考えておきます」という答えが返ってきます。そして最終的に、お客さんはどこに依頼するかというと、建築を請け負った会社が紹介した燃料業者に頼んでしまうのです。 これが燃料屋の新規開拓営業というものです。
お客さんのところには、多くの燃料会社が営業に行くので競走も激しいわけで、こちらの話を、まともに聞いてもらうことさえできません。 「ならば、品質でお客さんに振り向いてもらおう!」と考えますが、これは無理です。ガスは、品質の優位性を出すことができないからです。「うちのガスは他の業者と違って、とってもよく燃えるんです」こう言えればセールスもしやすいのですが、業者によって、よく燃えるガス、燃えないガスなどという違いはありません。ガスはただのガスであり、ライバル会社もまったく同じものを売っているのです。
また、サービス面でお客さんを獲得することも難しいといえます。業界の縛りがきついので、独自性のある企画をうちにくいのです。価格も各社ほぼ横並びで、ディスカウントも基本的にはできません。 実は、住宅も同じです。品質で売ることは出来ません。なぜなら、家の品質というのは、実際に建てて住んでみなければ分からないからです。従って「弊社の住宅はとても優れています!」と、どんなに宣伝してもまったく信用されません。お客さんには、あなたの商品も他社の商品もすべて同じものに見えています。その証拠に、今、品質を売りにしている会社が、軒並み低迷しています。このことは住宅業界だけではなく、あらゆる業界においても同じ状況だと思います。 モノを売るためのポイントは、品質ではなく、まったく別のところにある。それがどこなのかを、私はこのときにつかみかけていました。
その3 お客さんが必ず買ってしまう状況を作り出す!
毎日、毎日、売れずに悩む日が続きました。おかげで髪の毛は抜け落ち、頭が薄くなりました。 しかしある日、すべての悩みを解決する、ひとつのキーワードに私は辿り着きました。それは、自分の今までの営業に対する考え方を、根底から覆すものであり、コンサルタントの先生、上司、先輩、同僚、後輩など、あらゆる人たちのアドバイスには、まったく出てこなかった考え方でした。
つまりそれは「どうすれば、売れるのか?」と考えるのではなく、「どうなれば、お客さんは買うのか?」と考えるということです。 自分ができる範囲の営業をやるのではありません。見込み客全員から確実に契約を取るには、なにを満たせばいいのか?その要素を見つけ出し、それを行うというものです。ある意味それは、袋小路にはまり込んだヤケクソの発想でした。「いっそ、無料にでもすれば売れるのになー・・・」 行き詰った極限の状態に思いついたのが、「いったい、どうなれば買うんだ?」という発想でした。 ガスの場合、いったいどうなれば、契約してくれるのか?住宅の場合、いったいどうなれば、契約してくれるのか? まったく魅力の無い商品の場合でも、いったいどうなれば、買ってくれるのか? いずれの場合も答えは、ひとつ。以下のようなことを満たせば、お客さんは買います。
・お客さんが私のことを、どんな人間か理解 している。
・お客さんが私のことを、燃料に関するプロとして信頼 している。
・お客さんが私のことを、いつも記憶 している。
あとは、他社と同等の商品さえあれば、売れる。 「そんなことだけで売れるようになるとは思えない」 確かに、あなたの言う通りかもしれません。しかし、私は売れました。ガスの新規受注も急激に伸び、住宅を売ったのも、この3つの要素を意図的に満たしたからです。 自分の周りを探しても「理解、信頼、記憶」という3つの要素を満たすために、本気で活動している会社はいませんでした。やっていたとしても、極めて中途半端なものばかり。結果が出る出ないを、今結論付ける必要はありません。なぜなら、あなたもやったことがないからです。
その4 私だったら絶対に買わない!あなたはどうか?
モノを売る上で「理解、信頼、記憶」といった3つの要素が必要なことは、自分に置き換えてみると、とてもよく分かります。
あなたは、知っている人と、まったく知らない人と、どちらから買いますか?
あなたは、その道のプロとして信頼できる人と、そうでない人と、どちらから買いますか?
あなたは、いつも憶えている人と、忘れてしまっている人と、どちらから買いますか?
答えは言うまでもなく、理解している人から買いたいと、思うはずです。
信頼している人から買いたいと、思うはずです。
記憶している人から買いたいと、思うはずです。
これが人情というものです。理屈ではありません。「理解、信頼、記憶」を満足させると、「売れる下地」が出来上がります。売れる下地があってはじめて、お客さんは、商品の話を聞いてくれるようになります。下地がないまま、商品の話をするから嫌われるのです。 あなたも、こんな人に会ったことがあるはずです。いかにも口のうまそうな営業マン。名刺ひとつで、昔から親しかったように語りだし、巧みに商品を勧めてくる。そのときあなたは、こんな感情を持つはずです。 「どうして、あんたから買わなきゃいけないの?」 あなたはその営業マンを理解していないし信頼もしていない。つまり「この人だったら買ってもいい」という基礎的な下地がないから、買わないのです。
その5 お客さんの記憶にさえ残っていれば、イヤでも売れてしまうという現実
実は、たったひとつの要因を満たすだけで、極めて安定的に新規開拓を行うことができます。それは、お客さんの記憶に残り続ける、ということです。 お客さんは、その商品が必要になったとき、自分が憶えている人から買います。自分の頭の中に存在していない人に、声をかけようがないからです。つまりお客さんが、あなたからではなく、他社から買ってしまう最大の理由は、単に、あなたのことを忘れているからに他なりません。
私にも経験があります。「このお客さんは僕のことを気に入ってくれているし、商品やサービスについても納得してくれた。きっと契約できる!」 このようなお客さんでも、最後には声をかけてくれなかったりするのです。 理由は単純で、うっかり忘れてしまっているだけのことだったのです。憶えていれば、きっと私と契約してくれたはずです。従って、憶えてもらう努力をするだけで、ここに1件の成約が取れるわけです。
例えば、一人のお客さんが住宅のリフォームをしようと思ったとします。そのお客さんが、最初にどういう行動をとるかというと、たまたま頭に浮かんだ業者に声をかけます。もしくは、たまたまチラシで見つけた業者に声をかけます。仮にそのお客さんが「リフォームをやるときは必ずあなたに頼むよ」と、約束していたとしましょう。しかし、あなたに声はかけません。お客さんに悪気はないのです。あなたのことを忘れているだけなのですから。 逆に、たまたま電話したお客さんと、突然成約できることもあります。お客さんが「リフォームをやろう!」と思ったときに、たまたまあなたが目の前にいたからです。 お客さんが「欲しい!」と思ったときに、あなたのことが頭に浮かべば、必ず最初に声がかかります。すると、他のライバルよりも、有利な立場で商談を進めることができるようになります。これが、お客さんの記憶に残るだけで、かなりの確率で売れるようになるという、ひとつの根拠なのです。
その6 しかし、お客さんの記憶に残り続けても、
元々、必要性のない商品は売れないのではないか?
なるほど、よい質問です。結論を先に言うと、必要性のない商品でも、売れてしまいます。 例えばここに、高性能の掃除機があったとします。価格は30万円。あらかじめ、性能の高さについて説明しなければ、とてもじゃないですが売れません。または、保険のような商品も同様です。必要性を示したり、他社の保険と比較した優位性を示さなければ売れません。掃除機も保険も、単にお客さんの頭の中に残っているだけでは、売れない商品です。今すぐに必要な商品ではないし、複雑な説明も必要な商品だからです。 では、どうするのか。
まず、その商品を利用することによって、お客さんが得られるメリットを、正しく伝えます。ここでは、できるだけ、お客と業者という関係ではなく、1対1の人間として、正面から誠実に説明を行うことです。すると、その時点で、理解を示してくれるお客さんが、必ず一定数出てきます。この人たちが、今すぐに買って下さるお客さまです。
そして、購入に至らなかった方々へ、アプローチを行います。その方法は「つながりを持ちながら、待つ」というアプローチです。なぜなら、それによって、購入タイミングを図れると同時に、購買意欲を醸成させることができるからです。 ほとんどのお客さんは、商品の良さを理解しても、すぐには買いません。もっとじっくり考えてから買いたい、と思っている人もいれば、お金の融通をつけてから買いたい、と思っている人もいる。こちらを信用できる相手なのかどうか、月日をかけて見極めようとしている人もいる。 つまり、購入を決断するのに時間がかかるわけです。しかし、決断できた順に買っていくことは明らかです。そのときに、必ず声がかかるように、常につながりを持っておくのです。 また、説明の必要な商品というのは、1回の説明で納得できる人は、ごく少数です。ほとんどの人は、納得できず、買う気になりません。だからこそ、つながりを維持しながら「待つ」のです。すると何が起こるのかと言いますと、こちらとの信頼関係の醸成とあいまって、商品への理解が進み、購買意欲が醸成されていくのです。
この考え方の有効性は、数字上でも立証することができます。例えば、100人にアプローチして、すぐに買ってくれたお客さんが3人いたとします。買ってくれなかったお客さんが97人いたとします。この97人に対して「つながりを維持して、待つ」という作戦を実行する。すると、アプローチするたびに買う人が、確実に一定数現れます。仮に、ひと月ごとの購買率が1%だっただけで、1年後の累計成約数は12人になります。つまり、業績は3倍にも伸びるのです。
その7 君の言っていることは、完全に間違っている!
さて、ここまでの私の話を聞いて、あなたはどう思いましたか? あなたが、黙っていても売れてしまう商品を持っていれば、私の言うことは的が外れています。今すぐにすべての家に飛び込み訪問すれば、売上はどんどんあがるでしょう。どうかその方法で売り上げを伸ばしてください。あなたが、目の前に誰かいれば、必ず売ってしまうほどの営業トークを持っていれば、私の言うことは的が外れています。大ホールに人を集めてあなたが語れば、その日のうちにビルが建つほど儲かるでしょう。どうかその方法で売り上げを伸ばしてください。
しかし多くの会社が、黙っていても売れるような商品など持っていません。目の前のお客さんに、確実に売ってしまうような営業力など持っていません。従って、私たちが商売を繁盛させるために考えるべきことは、たったひとつです。「たくさんのお客さんと、一斉に信頼関係を築き、お客さんの記憶に残り続けるには、どうすればいいのか?」ということです。この方法が分かれば、商品力や営業力がなくても、とても楽に売れるようになります。「売れる下地」が出来上がるからです。そのことは、私がお約束しましょう。
では、私が行った「売れる下地」の構築法を、これからすべてお話します。実は、理解、信頼、記憶の3要素を、一発で満たす方法があります。分けて考えるのではありません。私は、ひとつのツールだけで、売れる下地を作り上げることを考えました。面倒なことは嫌いな性分なのです。
その8 情報紙でつながりを維持する戦略!
その方法とは、手作りの情報紙をお客さんのところに届けるという方法です。情報紙といっても、A4サイズで4ページほどの簡単なものです。もちろん私自身の手作りでした。作成に要する時間は3時間ほど。いつも家族が寝静まった深夜に、コッソリと作っていました。 私は、この情報紙を見込み客に配布し、信頼関係を一斉に築いたのです。そしてたくさんの契約を獲得しました。住宅もほぼ同じ方法で売りました。これが、私が当時使っていた情報紙です。手作りだったのでクオリティーは悪かったのですが、営業はとっても楽になりました。 では、使うツールがなぜ、情報紙なのでしょうか?理由は3つあります。
まず第一に、売り込みを頑なに拒否する見込み客の懐に、いとも簡単に入り込むことが出来るからです。つまり「情報紙をお届けします!」という名目ならば、人は拒否する理由がなくなってしまうのです。だから、すべての見込み客が、素直に私を受け入れてくれたのです。
第二に、見込み客の記憶に、確実に残り続けることが出来るからです。何度も電話したり、商品のダイレクトメールばかりを送ると、冷たく嫌われますが、情報紙なら何度出しても嫌われることはありません。従って、定期的に情報紙を届けるだけで、お客さんの機嫌を損ねることなく、記憶に残り続けることができるわけです。
第三は、伝えたいことを確実に伝えきることができるからです。私は、伝達力こそが営業力だと思っています。どんなによい商品を持っていても、そのことを伝えられなければ売れないし、説明が必要な商品の場合ならば、なおさら、伝達する力が問われます。しかし、お客さんというのは、こちらの1回や2回の説明では、なにも理解してくれません。口では分かったと言ったり、分かったような顔をしますが、ほとんど上の空です。ひとつのメッセージを全員に伝えきるには、何度も何度も恒常的に語りかける必要があります。しかし、何度も電話することはできないし、何度も訪問して説明することもできません。 従って、紙に伝えたいことをきちんと表示して、この紙を何度も届けるという方法が効果的なのです。伝達不足による営業力の欠落を、情報紙を届けることによって、確実に補うことができるわけです。
その9 私が行った、すべてのライバルを一発で蹴落とす方法
私は、お客さんとより強固な信頼関係を築くために、情報紙に書く内容を突き詰めて考えました。具体的には、次のことを書くようにしました。
・自分の顔写真を添付して、素顔をきちんと明かす
・どこのどんな会社からやってきたのかを、きちんと説明する
・どこで住所を調べてやってきたのかを、きちんと説明する
・何が目的で手紙を出したのかを、きちんと説明する
・自分の日常を、きちんと語る
・商品についての正しい知識を、きちんと伝える
まずは、私の顔が見えるようにしました。一目でどんな感じの人間かを理解してもらうためです。そして、会社のパンフのコピーを添付し、どこのどんな会社から来たのかもきちんと明かしました。なぜかというと、お客さんはこちらを、気味の悪い存在だと思っているからです。「知らない会社の知らない人間が、自分に何かを売ろうとしている」 お客さんがこのような感情を持っている状況では、売れるものも売れません。だからこそ、自分と会社をきちんと明かす必要があるのです。
そして多くのお客さんは、私が突然、情報紙を送ってくることに不信感を持つと思いました。従って、住所の入手方法についても正直に明かしました。ガスの見込み客に対しては「住宅の業界紙に掲載されている建築確認申請を見て来ました」 リフォームの見込み客に対しては「自社の顧客台帳を見て来ました」ということを正直に書きました。私は、人の家になにかを届ける場合、このような説明を確実に行うべきだと思っています。些細なことです。しかしお客さんは、こういった細かな気配りを、とてもよく見ているものです。そのことが、暗黙のうちにお互いの信頼関係を育むことになり、後々の成約に大きく響いてくるのです。
次に、自分が手紙を届けている目的を、はっきりと書きました。多くの場合、あたりさわりのないあいさつで、文章を終わらせることが多いと思います。私も当初、文末を曖昧に締めていました。しかし、最終的な成約率を計測すると、良い数字は得られませんでした。自分がお願いすべき部分は、はっきりと言い切ることが重要です。「ガスを取り付ける段階になりましたら、必ずご一報ください。後悔はさせません!」 きっぱり伝えなければ、相手の心に届かないことを知りました。
さて、その後私は、自分の身近で起こったパーソナルな情報を伝えていきました。内容は主に、季節の話や日常のとりとめもない事です。なぜこのようなことをしたかといえば、私のことを、営業マンではなく、一人の人間として見てほしかったのです。つまり、売り手と買い手の垣根を取り払いたかったわけです。
更に、新築時における燃料のマメ知識も伝えていきました。理由は、私が燃料に関するプロであることを、それとなく分かってもらうためです。お客さんに、商品の正しい選択基準を教えてあげれば、一発でこちらをプロだと認めてくれます。そして、正確な情報を教えてくれた人を、第一に信用するようになるのです。
このような一連の内容を伝えきれば、お客さんはこちらのことを、強く信頼してくれるようになります。すると、どういう状況が整うかというと・・・小野さんは誠実な青年で、他社は気味の悪い営業マンという図式が、お客さんの中で出来上がるのです。 これで勝負が決まります。私が、よほどだめな商品でも持っていかない限り、お客さんは、必ず私から買います。なぜなら、他の会社が、私とお客さんとの間に入り込む余地がないからです。私が、住宅や保険など畑違いの商品を持っていったとしても、お客さんは、たぶん私から買います。なぜなら、私とお客さんの間には、すでに心のホットラインが開通しており、私の持っていく話なら、お客さんはなんでも真剣に検討するようになっているからです。
その10 情報紙を使った営業の問題点
一見、万能な情報紙による営業ですが、実は、大きな欠点があります。それは、ネタ切れを起こすことです。最初の数回は、張りきって商品について書きまくるのですが、それ以降、書けなくなってしまうのです。自分のことを書くにしても、何ページも書けるものではありません。 そこで私は、どうしたかというと、ネタの尽きない話題を書くことにしました。営業の対象が奥さんだったので「奥さんの生活に役立つ情報」を中心に書いたのです。これは、案外、簡単に書けました。先ほど見て頂いた私の情報紙に、生活ネタが多かったのはそのためです。それは、意図的にそのようにしていたからであり、すべては「お客さんとのつながりを維持する」それこそが、第一の目的だったからです。この方法なら、途中で挫折することはありません。
「でも、自分の商品と関係のないことを伝えても、意味がないんじゃないの?」 こんな疑問を持つ方もいるでしょう。実は、商品と関係のない内容を入れた方が、お客さんは情報紙を積極的に読んでくれるようになります。人は、想定外の内容であるほうが、興味を持つものです。また、自分の生活に直接関係のあることのほうが、喜んで読みます。逆に、燃料屋の情報紙に燃料のことばかりが書かれていると、お客さんは、つまらないと感じて情報紙そのものを読まなくなるのです。だからこそ、商品と関係のない内容を意図的に入れる必要があるわけです。 情報紙を使った営業の場合、いかに短時間で楽に情報紙を作るか。ここが最大のポイントとなります。その方法については、また別の機会にお話します。いずれにしても、お客さんには「他の誰よりも、マメに接する」 しかし、やることは超合理的に、時間と労力をかけずに行う。このことが大切です。
その11 業種別の取り組み方
実は、業種別に取り組み方があるのかというと、特にはないのです。なぜなら、人との関係を築くということに、商品や業界の違いはないからです。どの業界でも、やることは同じです。
過去に買ってくれた、既存客リストに出す。
これから買いそうな、見込み客リストに出す。
情報紙の出し方はこれだけです。 既存客は、すでに取引実績があるので、あなたへのロイヤリティは高いといえます。従って「情報紙を出したら、すぐ売れたよ?」というケースがよくあります。しかも、既存客は、口コミによる新たな集客も期待できます。既存客が自分の知人に、あなたのことを、どんどん語るようになるのです。今は、横のつながりの時代です。知人の言うことを、他の誰よりも信用し、知人の勧める業者から買う消費者が、非常に増えています。つまり、既存客に情報紙を出せば、今すぐに買って頂ける可能性と、新しいお客さんを連れてきてくれるという、2つの可能性を期待できるのです。
次に出すのが、見込み客です。見込み客に情報紙を出せば、成約率をあげることができます。しかも、購入に至らなかった人に対して、その後もつながりを維持することで、買う人が出てくるようになります。今、見込み客を獲得するコストが、非常に高くなっています。高いコストをかけて見つけた見込み客は、極めて貴重な存在です。以前のように「買わないなら、次の買うお客を探せばいい」というスタンスではなく、「一度出会ったら、大切に育てて、最後には買って頂く」という、地道な姿勢が求められています。なぜなら今後は、新しいお客さんを集め続けることが、どんどん難しくなるからです。
その12 私が住宅の見込み客を大量に獲得した方法
よく、「情報紙で集客することができますか?」という質問を受けます。結論から言えば、出来ます。方法は、ポストへの投げ込みです。 私が、住宅販売の見込み客を、大量に集客した方法をお話します。まず、地元のアパート6000世帯のポストへ、情報紙の投げ込みを行いました。それを毎月行うことで、圧倒的な「売れる下地」を作りました。そして時々「見学会やります!」というチラシを、情報紙に一緒に挟んで届けました。すると、その6000世帯の中から、見学会へ来る人たちが大量に出てきたのです。
当時、ビジネス界では、広告宣伝による集客テクニックが流行していました。いろんな業界で「チラシ1本で100人集客した!」「200人集客した!」などといったふれこみが、あちこちで見られました。しかし、真にそのような数字を出していた人というのは、別の下地をきちんと作っていたからこそ、できた数字でした。 私の携わっていた住宅業界においても、1回の見学会で100人集客するのは、チラシ1本ではとても無理でした。しかし、私と組んでやっていた工務店の社長さんは、毎回、100人の集客が出来ていました。なぜなら、アパート6000世帯へ、定期的なアプローチを行っていたからです。 このように、たった一人に買って頂くことも、多くの人を集客することも、ポイントはひとつです。すべては、日頃のつながりがあるかどうかということと、人として、本来すべきことを、きちんとやっているかどうかで、決まってしまうのです。
最後に・・・ 商品をたくさん売るための、永遠の法則
私が結果を出してきた方法は、バカみたいに簡単なやり方ばかりです。「難しいことをやっても結果は出ない。成功はシンプルな仕組みの中にある」 これが私の持論です。
・お客さんに対して、定期的に情報紙を送る。
・そのつながりを利用して、信頼関係を構築するための内容を伝えていく。
・商品に関する、正しい情報を伝えていく。
たったこれだけのことで、今よりも楽に売れるようになるわけです。しかし、このような「売れる下地」を作ることに、真剣に取り組んでいる会社は、ほとんどありません。きっと、やらなければいけないということは、なんとなく分かっているのかもしれません。ただ、実際やるとなると、お客さんとの定期的なつながりの持ち方が分からなかったり、手間をかけない合理的な関係作りの方法が分からないなどの理由で、やりたくてもやれないのだと思います。
実は当時の私のライバル会社も、合理的に信頼関係を構築して売っていく方法を知っていました。かなり大きな会社です。しかし知っているというだけで、なにも行っていませんでした。このような、頭デッカチで手足の動かない会社がとても多く、だからこそ中小零細企業は助かるのです。私一人でも、大企業相手に勝負を挑んで勝つことができました。すべては、実際にやるかやらないか、それだけです。机の上にはなにもありません。すべては現場でやるかやらないか、それだけなのです。 私は、商品を買ってもらうために必要な要素というのは、いつの時代も同じだと思っています。
・自分という人間を、理解してもらう。
・自分をプロとして、信頼してもらう。
・自分のことをいつも、憶えていてもらう。
・そして、商品について語る。
必要なのは、お客さんとの定期的なつながり、信頼関係、そして最後に商品。この順番を間違えると、売れません。いかに、お客さんとつながりを維持し、信頼関係を築くか。これが商売の原点だということを、私は実戦の中から学びました。過去においても、将来においても、きっとこの法則は揺るがないでしょう。業界や商品を問わず、商売を繁盛させていくための、約束事です。なぜなら、商品やサービスを買うのは、いつの時代も、血の通った生身の人間だからです。
追 伸
もしあなたが、情報紙を使って、今いるお客さんと信頼関係を築きたいようでしたら、私が、あらゆる面でバックアップします。理解・信頼・記憶という、その次元をはるかに上回る、顧客との融合というレベルまで引き上げる方法を、アドバイスいたします。興味のある方は、情報紙をお客に出して関係強化 のページをご覧ください。