人は、何かを買うために生きているわけではない。よい人と出会い、よい人生を送るために生きている。そこに、消費者があえて口にしない、真の欲求がある。

今の消費者を正確にとらえる

消費者が一番、見ているところ

そもそも「なぜ売れなくなったのか」を考えたとき、景気のこと以上に「お客の視点が変わった」という事実があります。
一昔前までは、「不足を埋める」という消費形態でした。
あれが必要、これが足りない、もっといいモノはないか、もっといい生活をしたい、という消費です。
今、そしてこれからは「存在を埋める」消費です。
「あの会社が好きだから買う」
「あの会社を好きな自分が好き。だから買う」
簡単に言えば、バイク好きが、ハーレーダビットソンのバイクばかりを買うという形です。
自分がその会社に関わっていくことで「自分の存在意義を確かなものにしている」わけです。

消費者は、製品やサービス以上に、精神的な充足を求めています
お金で買えるものを超えた何かを手に入れようとしている。
それは、意味や幸福や想いであったりするわけで、また、そういう部分を意識した売り方をする会社を求めている。
ここに、手付かずの巨大市場が存在するわけです。

消費者は、モノを買う存在である前に、生活者です。
一枚一枚、積み重ねるように日々の生活を営んでいる。
一枚一枚、身を削られて老いていくことも感じながら生きている。
他人には言えない、大きな問題を抱えながらも平然と生きている。
単純で楽観主義の人は減っていて、みなが詩人のように人間的な深みを増している。
人間としてのレベルを確実に上げている・・・。
だからこそ、メリットだけを前面に打ち出したような売り方がうまくいかない
消費者が反応をするのはそこではない。
なじみや信頼に基づいた、身内としての業者を欲している。

なじみや信頼を第一に求める消費者に対して、私たちはどう向き合っていけばよいのでしょうか?
まずは私たちは考えを変えることです。
お客を釣り上げる、刈り取るという発想を見直すことです。
なぜなら、これまでのマーケティングの根底には、「相手から奪う」ということを前提とした考え方がありました。
人をひっかけるように集客し、お客の心理を操りながらセールスする。
消費者をターゲットなどと呼び、まるで戦争でも仕掛けるかのように販売戦略を立てる。

最も恐れるべきことは、その考え方がいろんなところに、にじみ出るということです。
お客はそれを敏感に察知する
だから、魅力的な言葉を投げかけても、素晴らしくよい提案をしてもなかなか信じてもらえない。
誰もわざわざ、奪われるために自分を差し出す人はいません。
望んでいるのは、信頼できる真のパートナーとしての、あなたであるはずです。

消費者が見ているのは、価格や商品やメリットだけではありません。
実際にこの人は、どれだけマメに自分とつながりを持ってきたのか?
どれだけマメなケアをしてきたのか?
こんな部分も、よくよく見ているように思うわけです。

「もう狩猟的な売り方だけではどうにもならないんだ。種をまいて育む農耕的な売り方への転換を図りなさい」
今の世の中が、そう私たちに語りかけているように思えてなりません。

 

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