ビジネスお役立ち知識
そこそこのヒット商品を大ヒットさせたアイデア!
ブームに乗った二番煎じの小ヒット商品はよく見かけます。しかし、さらにもうひと工夫することで“そこそこのヒット”が“大ヒット”に進化することもある。今回はそんな具体例をご紹介しましょう。
■夏場に扇風機で髪を乾かす女性の習慣に注目!
家電製品業界に「マイナスイオンブーム」が起こった2002年、岩谷産業を含む4社が扇風機にマイナスイオン発生装置をつけて小ヒットを飛ばしました。しかし、岩谷はさらに一歩進んで「夏場は扇風機で髪を乾かす女性が意外と多い」ことに目を付けたのです。どうせなら静電気を起こしにくいマイナスイオンで髪をサラサラにして、ついでに化粧もできるように鏡をつけたらどうだろう……。このアイデアは見事に女性の心を捉えました。いまどきの若い女性は髪の毛に気を使う人が多く、商品名の「髪サラ」という語感もウケたようです。今年の4月には、縦型扇風機の上部に温度切り替えができるドライヤーを搭載した新商品「髪サラスリム」を発売し、新商品を含む「髪サラシリーズ」は出荷台数20万台を目標にする大ヒット商品へと進化したのです。
岩谷にはもともと、すぐれたマイナスイオン発生技術があったそうです。同条件のもと、他社製品のマイナスイオンは3千~8千程度だったところ、岩谷の商品は約50万個を発生させることができたのだとか。この技術とアイデアが結びついて、指名買いまでされるほどのヒット商品が誕生したのです。
ヒットの要因は技術とアイデアだけにとどまりません。“若い女性”をキーワードにマーケティングにも力を入れたのでしょう。昨今のアロマブームを反映させて、アロマイオンを入れるポケットのついた「アロマシリーズ」や、1人暮らしの女性のそれほど広くない部屋でも邪魔にならないよう、小型の「アロマシリーズmini」も発売しています。さらに、インテリア性を重視したシンプルな縦型スリムなデザイン。夏の風呂上りには扇風機で涼みながらドライヤーで髪を乾かす、さらには付属の鏡で化粧までできるといった“一台二役、三役”も女性が心惹かれるキーワードです。
小ヒットで満足するか、さらに大ヒットを狙うか。分かれ目は“アイデアの粘り”でしょう。