ビジネスお役立ち知識
商品の周辺にあるヒットの芽は、”便利”
“便利”は商品選びのキーワードと言えるでしょう。乾電池の包装に“便利”という付加価値を与えることで差別化をはかり、シェアを拡大した一例が、松下電器(パナソニック)の「(おNEWの電池を)見わけるパック」です。
■20世紀最後を飾る画期的なパッケージ
松下電器の「見わけるパック」は乾電池を包むフィルムにミシン目が入っており、フィルムごと1本ずつ切り離すことができます。つまり、乾電池の新旧が一目でわかるのです。“20世紀最後を飾る画期的なパッケージ”として2000年3月に発売され、松下の乾電池売り上げ増に大きく貢献しました。
元々のアイデアは1998年頃から検討されていたようです。開発スタッフに課せられた課題は、「お客様に喜ばれ、コストをかけず、業界初のシンプルなもの」。試行錯誤の末にたどり着いたのが包装フィルムにミシン目を入れるアイデアでした。目指したイメージはチョコレートの「キットカット」だそうです。
誰もが簡単に、きれいに切り離せる技術は容易に実現しませんでしたが、“無いものは自作する”のが松下魂。まずは実験機を作り、ミシン目を入れるスピードやミシン目を作る刃の形状を数百のバリエーションで試し、ミシン目の切り口サイズやミシン目の位置まで細かく研究し尽くされた結果が「見分けるパック」なのです。
※参考:松下電器「isM」松下の包装技術
http://panasonic.co.jp/ism/housou/01/
「買い置きした乾電池と使い古しが混ざっちゃって、いざ使おうとしても見分けがつかないのは不便だ」。そもそもの始まりは、社員の誰かのこんな不満だったかもしれません。商品改良といえば世の中に広く出回っているもの(この場合は乾電池)に目がいきがちですが、製品本体ではなく“包装”に目をつけて便利さを追求したところは見習いたいところです。商品の周辺にもヒットの芽がある。そんなつもりで周囲を見渡してみると、発明のアイデアが浮かんでくるかもしれません。