ビジネスお役立ち知識
あなたの職場のイヤな奴 / ロバート・I・サットン (著)
アメリカでロングセラーを記録した本書は、ただの職場いじめの対策本ではありません。もちろん職場に生息する「イヤな奴」に太刀打ちする作戦を書いた本ではありますが、「経営組織論」として読むことも十分に可能です。というよりむしろ経営組織論、または人間関係術として読むことをおすすめします。
原題は『The No Asshole Rule』。直訳すると「クソッタレを消滅させるルール」といった感じでしょうか。クソッタレとはずいぶん強い表現ですが、本書に登場する「イヤな奴」はまさにクソッタレ。職場ではこんなクソッタレにいかに対抗するかが重要である、と著者は訴えています。
本書の実例はアメリカの会社での話ですが、日本の会社にも(もっと言えばどの国の会社にも)同じような人はいるものです。人の神経を逆なでする人。すぐ感情的になる人。他人の足を引っ張る人。ムダに負けん気が強い人。いるだけで周囲のやる気を奪う人……。こんな社員は社内の雰囲気を悪くするだけでなく、時には取引先にまで被害を及ぼします。退職理由の多くが人間関係だと言われている今、社員には社内でのサバイバル術を身に付けてもらわないと優秀な人材確保もままならない時代なのかもしれません。
クソッタレに対抗する七つの教訓として著者が最後にあげるのは、
「クソッタレとは、わたしたち自身のことである」
つまり著者いわく、「だれでもときにはクソッタレになる」。経営者も上司もクソッタレになってしまう可能性があるわけで、会社の風通しを良くするにはまず我が身を振り返ってみるべきなのでしょうか。意外と笑える一冊です。