ビジネスお役立ち知識
優れた社員を育てるための「コーチング」
「コーチング」という言葉をよく耳にします。一般的に解釈すると、答えを提供してもらうコンサルティングに対して、自分自身で答えを導き出すための《気づき》を与えてくれるのがコーチングといわれているようです。自身の未来像や目標を明確化し、行動を起こして成功に結びつけるための《コミュニケーション型自己啓発》といったところでしょうか。
書店のビジネス書コーナーにもコーチングに関する本がたくさんありますが、マネジメント手法としてのコーチングはリーダーシップに欠かせないものと考えられているようです。
コーチング実践会でパーソナル・ビジネスコーチをされている杉本良明氏がホームページで書かれている「コーチングとリーダーシップ」には、
「大雑把に言って、リーダーシップは指示(命令)と支援(相談による引出し)から成り立っています。支援(相談による引出し)の別称がコーチングです」
とあり、リーダーシップとコーチングは密接な関係にあることが分かります。
支援の目的は部下の育成です。従って、ひと口に「支援」といっても部下の成熟度によって支援スタイルが変化していくのが自然の流れでしょう。これは「SL理論」という有名なリーダーシップ論でも言われていることだそうです。
杉本氏によれば、部下の成熟度が低いときには支援よりも指示を主体にし、成熟度が上がるにつれて支援を増やし、中程度以上の成熟度になったら指示も支援も減らすことが望ましいとのことです。
入社2~3年目は社員育成の一つの分岐点なのでしょう。ここで新人同様の指示と支援を与え続けてしまえば成長の目を摘んでしまうことになります。一社員としてどう会社に関わっていくのかを自分で考えさせるために、指示を減らして支援(コーチング)を増やしていく必要があるのだそうです。
そして、部下がある程度ベテランになったら、指示や支援の代わりに組織の意思決定に関わる機会を増やしていく。見境のないコーチングで部下を育てることはできないのです。