人は、何かを買うために生きているわけではない。よい人と出会い、よい人生を送るために生きている。そこに、消費者があえて口にしない、真の欲求がある。

ビジネスお役立ち知識

大ヒット商品=偶然+知識+発想の転換

冬に大活躍するものといえば『使い捨てカイロ』。袋から出し、揉んで、振って、温かくなる使い捨てカイロを初めて使ったときは、その仕組みの不思議さに驚くとともに、「何て便利なんだ!」とカンゲキしたことでしょう。

使い捨てカイロの発熱原理は『鉄の酸化(錆び)による発熱反応』です。鉄は酸素に触れることでゆっくりと錆びますが、このとき微妙に発熱しています。学生時代に理科で習った基本的な原理ですが、憶えていますか? この酸化速度を速め、かつ発生した熱を数時間保つように調整したのが使い捨てカイロです。カイロの内袋には細かい鉄粉のほか、活性炭、食塩、水分が入っていて酸化速度を促しています。カイロの外袋を開けると内袋の通気穴から酸素が入り、中で酸化が始まるので温かくなる、というわけです。

今ではいろいろなメーカーが様々なタイプを発売していますが、元祖使い捨てカイロは『ホカロン』。発売元は、なんとお菓子メーカーのロッテです。(開発はロッテ電子工業株式会社)。

■ホカロン秘話

油を多く含むお菓子の酸化を防ぎ、長期間保存できるようにするために『脱酸素剤』というものが使われます。鉄の酸化熱を利用したものですが、ある日、効率を上げるために大型の脱酸素剤を作ったところ、非常に熱くなってしまったそうです。「これではお菓子に使えない……」。

ところが、ある1人の開発者が「これは“カイロ”に使える!」とひらめき、ホカロン開発研究のきっかけになったそうです。そして1978年。初の携帯用カイロ『ホカロン』が誕生しました。

(ロッテ電子工業「ホカロンの歴史」より)

ホカロンは、ある人の理科の知識と発想の転換が生んだ偶然の産物だったのです。当時ホカロンは大反響を呼び、ヒット商品になりましたね。『ホカロン』というネーミングも気が利いていました。発明では何が吉と出るか分かりません。眠っている学生時代の知識も、これから増やしていく引き出しも、使えるものはすべて『発明の肥やし』にしましょう。

 

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