人は、何かを買うために生きているわけではない。よい人と出会い、よい人生を送るために生きている。そこに、消費者があえて口にしない、真の欲求がある。

ビジネスお役立ち知識

口コミ営業 ~しゃべらずに売るしくみ~

話上手は営業向き。この通説が変わり始めています。営業力がコミュニケーション能力に左右されるのは知っての通りですが、“押す”より“引く”コミュニケーションが重視される傾向にあるようです。たとえば営業本を見ても、以前は自分のペースに相手を巻き込んで「イエス」を言わせる“イケイケ営業”とも呼べそうなノウハウで営業マンをあおる内容が目立ちました。しかし最近は、モノより人を売り、人が人を呼ぶ“口コミ営業”が注目されています。

ベテラン営業マンにしたら「何を今さら」の常識でしょうが、それだけモノ売り営業に限界を感じている人たちが増えたのかもしれません。実際、今はお客さんのほうが豊富な知識を持っていることもめずらしくありません。インターネット、専門誌、人脈などからいくらでも情報収集でき、商品比較も簡単です。そこにモノ売りのにおいをプンプンさせた営業マンがやって来て、すでに知っている話を聞かされたら――。営業マンが話せば話すほど相手は引いていくでしょう。お店に入ったとき、販売員にあれこれ言われると買う気がなくなってしまうのと同じです。

お客さんは 自分の意思で選びたいのです。もしくは、信頼できる人から勧められたいと望んでいます。また、自分がいいと思ったものは誰かに教えたくなるのが人間心理です。つまり、業績を上げたければ信頼される営業マンになればいいのです。信頼関係ができれば商品が売れるだけでなく、ほかのお客さんを紹介してもらえる可能性もあります。その先でもまた信頼関係を築くことができれば、人が人を呼ぶ信頼の連鎖が成り立ちます。こうなれば営業はどんなに楽でしょう。

ベテラン営業マンは体験的にこれを知っているので、営業くさくない営業を心がけるのだそうです。お願いしたり食い下がったりせず、約束や時間は必ず守り、相手への小さな気遣いを忘れない――。当たり前のことを普通にするのが究極のコミュニケーション能力であり、営業術なのかもしれません。

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