ビジネスお役立ち知識
優れた営業とは、相手をしゃべらせることである。
営業トークとインタビューはよく似ています。目的の一つが相手の本音を聞きだすこと。こちらの力量によって相手から引き出せる情報に差が出ること。そして、聞き上手なほうが良い結果になることなど。巷で“名インタビュアー”と称される人々のインタビューテクニックは営業トークにも十分いかせるでしょう。
インタビュアーは、事前の情報収集を徹底する人とほどほどの人に分かれます。後者は、事前情報を詰め込みすぎると先入観に引きずられて質問が限定しやすいからだそうです。しかし、これができるのは経験を積んだベテランでしょう。名インタビュアーの一人である黒柳徹子さんは、「徹子の部屋」の収録に当たり毎回ゲストに関してかなりリサーチするそうで、番組でも手元に資料を置いています。が、ほとんど見ていません。分かっていることでもまず相手にしゃべらせ、その後で確認の意味を込めて復唱する場面をよく見かけます。
これには二つのポイントがあるように思います。一つは、相手の口から言わせることで話が広がり、「思わず話してしまった」という展開が期待できる、つまり本音を引き出しやすいこと。もう一つは、復唱する際に自分が調べた情報を少し付け加え、「あなたに興味を持ってこの場に臨んでいますよ」とさりげなく伝えることで相手の気分を盛り上げることです。
ビジネスでもしゃべりすぎる営業はNGとされます。また、「興味を持たれている」と実感してもらうのは相手の自尊心をくすぐり、特に初対面では場が和むでしょう。「こんなにも知っています」と押し付けるようなトークよりチラッチラッと見せるほうが「こいつ、デキるな」と一目置かれるでしょうし、相手の口数を多くするきっかけにもなります。
初対面の緊張をほぐす方法としては、最初の数問は「はい」「いいえ」で答えられるものを用意しておくというアドバイスもあります。営業でも、相手の口を開かせるきっかけとして使えそうなテクニックでしょう。