ビジネスお役立ち知識
強い会社をつくりなさい/小山 昇(著)
「説得力」の根拠になるものは何でしょう。確実に言えることは、その背景に「経験」があるかどうかです。しかも、失敗という経験から学んだことであればなおさらです。
本書の著者である小山昇氏の説得力は、日本経済がバブルに翻弄された30年間に、自社がわずか3回の減益しか記録していないことです。しかし、30年の間にはもちろん失敗もあり、その失敗から学んだ経験をもとにした「強い会社」をつくるための9つのビジネスの基本(心得)が本書です。
小山昇氏が大切にしていることの一つが「社員との個人面談」です。社員1人につき15分ずつ質問し、メモを取りながら集中して社員の話を聞き、その裏にある社員の真意を探るのだそうです。「そのくらいしなければ社員から本音を聞きだすことはできない」と言い、個人面談以外にも、「グループ懇親会」「社長と飲み歩き会」などをもうけて年間100日も社員と懇親するのは、社員と目線とあわせる機会を多くすることで「本音」を引き出しやすくするためです。また、聞き上手を自負している小山氏は、社員が無意識のうちに本当のことを言わざるを得ないような聞き方をしているそうです。
人材の育成は経営者の抱える課題の一つです。どの会社でも行っている個人面談を例にとっても、小山昇氏が経験を積み重ねながら独自のやり方を築いてきたことが解かります。しかも結果を出しているのです。
地味な中小企業が増収・増益を続けているのには「それなりの理由」があります。経営者として、今のやり方や方針がぶれていないかを判断する材料が、「それなりの理由」に隠されているかもしれません。