人は、何かを買うために生きているわけではない。よい人と出会い、よい人生を送るために生きている。そこに、消費者があえて口にしない、真の欲求がある。

ビジネスお役立ち知識

戦略的「社長ブログ」

人を動かす根底にあるものは“感動”だと言われます。心を揺さぶられるような体験や言葉、想いが相手に届いたとき、人は「よし、私も!」と行動を起こすのでしょう。経営者と社員の関係も同じだと思います。企業理念や経営方針、経営者の姿勢に賛同することで社員のモチベーションが上がり、社員のやる気に応えるため経営者はより一層の企業努力をする。風通しの良い企業には、日々小さな感動が生まれているでしょう。

経営者の想いや理念を伝える手段として「社長ブログ」を利用する企業が増えているそうです。ブログ関連事業を手がけるホットリンクが2005年に発表した調査によれば、ブログを採用する企業の主な用途は「企業PR」(60.2%)、「商品PR」(47.6%)、「企業の代表者個人の内容(社長ブログなど)」(35.0%)、「リクルーティング・広報」(30.1%)の順で、回答者の約7割が「ビジネスブログのメリットを感じている」と答えたそうです。

社長ブログは一種の戦略です。「我が社の企業理念は“社会との共生”です」と言われても一般人にはピンときませんが、その内容を具体的に分かりやすく、経営者本人の言葉でつづる場として社長ブログを利用している企業もあるでしょう。ブログは基本的に個人の日記ですから、社長の日常を見せることで企業に親しみを持ってもらう効果も期待できますし、もっといえば社員に対して間接的に話しかける場と捉えることもできます。朝礼やミーティング、社内研修などの改まった場で“聞かされる”話と、気軽な雰囲気の社長ブログから“届く”言葉と、どちらが社員の心を揺さぶるでしょうか。

経営者と社員の間には距離ができがちです。立場の違いによる距離は当然でも、同じ会社で同じ方向を目指す同士としての温度差はできるだけ埋めたいものです。しかし、社内の風通しを良くしようと現場からの提案を採用するボトムアップを取り入れても、上の立場の人間と相対すれば緊張して話せないのが普通です。社員に「近づいていらっしゃい」と期待するより、社長ブログで間接的に社長から社員に近づいていく。「相手の口(心)を開きたいならまずは自分の口(心)を開け」の教え通りでしょう。「社長ブログに感激してこの会社を選びました」。将来そんな社員も現れるかもしれません。

 

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