ビジネスお役立ち知識
手に入らないから欲しくなる消費者心理
話題の商品は一時的に品薄状態になるものの、「売れる」と分かれば生産体制を整え、大量に出回るのが世の常です。大量生産で数がはければ売上は上がりますが、その反面いつでも手に入るものは飽きられるのも早いでしょう。手に入らないから欲しくなる。それが消費者の心理です。
■大量生産なし。店頭販売のみ。
東京都港区のねじ専門店「(有)三和鋲螺(びょうら)」は、発売と同時に即完売するほどの大人気商品「ねじキューピー」を開発。しかしあえて大量生産していません。「ねじキューピー」とは、ねじのコスチュームを着たキューピー人形のこと。「ねじ」と「キューピー」の意外な組み合わせや、本物のねじやナットが付いているユニークさがクチコミで話題になり、テレビ番組や雑誌などに取り上げられて人気が加速しました。しかし、ねじやナットの取り付けが手作業なので大量生産できないのです。しかも店頭販売のみ。同社のホームページにはこう書かれています。
ねじキューピー類は/店頭販売のみとなります。
通信販売は致しておりません。
また、予約や取り置き等も/承っておりません。
最近、テレビや新聞の影響で
多くお問い合わせを頂きますが
昨年9月の発売当初よりの方針ですので
何卒御了承ください。
狙って大量生産しないわけではありませんが、結果として毎回数百個の数量限定です。通販も予約も取り置きもできないので、欲しい人は入荷日の発表を待ち、入荷当日に店頭に並ぶしかありません。「ねじキューピー」の考案者である同店三代目の石井健友さんは、「楽しみながら、細く長く続けていけたら」と言い、「発売当初よりの方針」を崩す気持ちはなさそうです。
これからも「ねじキューピー」はなかなか手に入らないでしょう。だからこそ消費者は欲しくなり、末長いヒット商品であり続けると思います。結果的には見事に消費者心理を売り上げに結び付けていることになります。