人は、何かを買うために生きているわけではない。よい人と出会い、よい人生を送るために生きている。そこに、消費者があえて口にしない、真の欲求がある。

ビジネスお役立ち知識

物が売れない時代の営業マンに必要なもの

ファッションが時代で変わるように、仕事のやり方にも時代が反映されます。バブル経済真っ只中の営業マンは潤沢な経費を武器に、顧客に“夢”を売りました。顧客の懐事情も右肩上がりの時代。ショールームで待っていればお客さんが自ら足を運んできてくれました。必要なものを買うというより、お金を使うことで満足したいお客さんを相手に、派手なパフォーマンスでばら色の将来を夢見させてくれる営業マンが売り上げを伸ばしたのは当然だったでしょう。顧客が見ていたのは商品やサービスの付加価値で、その価値は経費に比例していたとも言えます。つまり、物が売れる時代の営業マンに必要だったのは「ばら色のプレゼン」だったわけです。

しかし時代は変わりました。GM(ジェネラル・モータース)の破綻に“驕(おご)り経営”の末路を見たように、世の中の動きについていけなくなったものは淘汰されていく運命にあります。今は物が売れない時代。必要なものでも買い控えするご時世に、ショールームでお客さんを待っているような“バブル営業”のノウハウは通用しません。

物が売れない時代の営業マンに必要なものは「原点に返ること」ではないでしょうか。気持ちの面はもちろん営業のやり方も原点に返って、泥臭い地道さを積み重ねる。その参考として、昔の御用聞き的なスタイルを見直すことだろうと思います。かつて酒屋の御用聞きは、得意先の用事や注文などを一軒一軒聞いて回りました。そこで注文を受けて配達をし、配達のついでに次の注文を聞き、新しい商品を紹介する。つまり提案営業です。たとえ注文がなくても定期的に客先を訪れて、世間話でもしながら人間関係を作ったものです。そうやって売っていたものは、実は御用聞き本人の人柄だったでしょう。

楽をする方法はなくても、楽に努力する方法はあります。営業マンの場合、「信頼できるこの人から買いたい」と思ってもらえれば物を売る労力が軽減します。今こそ「急がば回れ」を実践するときなのかもしれません。

 

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