人は、何かを買うために生きているわけではない。よい人と出会い、よい人生を送るために生きている。そこに、消費者があえて口にしない、真の欲求がある。

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都市伝説にヒットの予感

コアラをかたどったお菓子の中にチョコレートが入った「コアラのマーチ」というお菓子があります。以前、若者の間で、「まゆげのあるコアラを見つけると幸せになる」といううわさが広まりました。製造過程でのちょっとした跡ですが、稀少性から都市伝説になったのでしょう。時に商品は、開発者やメーカーが想像もしなかった展開を見せます。日清「シーフードヌードル」の思わぬ展開のきっかけも都市伝説でした。シーフードヌードルには、10年以上も前からある都市伝説があったのです。

■シーフードヌードルを温めた牛乳で作ると旨い!

2006年春、新商品の開発に悩んでいた日清マーケティング部のA氏は、ふとシーフードヌードルの都市伝説を思い出します。「シーフードヌードルを温めた牛乳で作ると旨い!」。「シーフードヌードル 牛乳」でネット検索してみると、ヒット件数は約29000件。しかもほとんどが個人のブログや書き込みで、年代層も幅広い。そこでさっそく都市伝説通りに作ってみると、確かに絶品だったのです。この時A氏は、「シーフードヌードルと 牛乳」の組み合わせにヒットを予感しました。

しかし、消費者の知恵である都市伝説を商品化するには、麺の戻り具合、塩分調整、コクなどの改良が必要でした。複数の牛乳や乳製品で実験を続けた結果、A氏の地道な努力が評価され、社を挙げての商品開発がスタートします。シーフードヌードルの味を残しつつ、都市伝説の味を“本家”の味にレベルアップさせる・・・。本家の意地をかけた研究は経営陣に対する商品化会議で「商品化決定」を勝ち取り、2007年11月「ミルクシーフードヌードル」として店頭デビュー。開発秘話を公開する“都市伝説を逆手に取った”作戦も功を成し、急成長したミルクシーフードヌードルはすでに定番商品のひとつだそうです。

都市伝説とは、発信源の分からない、けれど真実味のあるうわさです。若者はうわさに飛びつきやすく、それが面白ければ勝手にどんどん広めてくれます。自分のアイデアを都市伝説化させて、ブームのきっかけを作る。若者に向けたそんな仕掛けから、思わぬ展開が期待できるかもしれません。

 

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