ビジネスお役立ち知識
魚眼レンズの視点がヒット商品を生む!
ひらめきのきっかけは様々です。大事なことは、“何を”“どのように見るか”でしょう。発明家はものの見方が柔軟です。カラクリを見れば「なーんだ」と思うようなものでも、最初にそのカラクリを思いついたからこそ特許になるわけで、「なーんだ」にたどり着くまでの過程は大いに参考にしたいものです。
■特許取得 どちらの向きにも反発しない!多方向性磁石使用の「ピタゴラス」
乳幼児玩具メーカー「ピープル社」をご存知でしょうか。乳幼児の“知育”に着目したオモチャを製造販売している会社です。今回の主役は、磁石を使ったブロックオモチャの「ピタゴラス」。ピタゴラスのウリは「どちらの向きにも反発しない!多方向性磁石使用」で、すでに特許を取得しています(特許3225307)。磁石にはN極とS極があり、同じ極は反発しあうという性質を持っています。しかし、ピタゴラスはどの面でもくっつく“多方向性磁石”なので、乳幼児のおぼつかない手でも簡単に何かを作ることができ、遊びながらひらめき脳を養えるというわけです。さて、その原理を特許電子図書館(http://www.ipdl.ncipi.go.jp/)で調べてみると、N極とS極が約5ミリ間隔で連続して並んでいるだけ。実に単純なカラクリですが、ちゃんと特許を取得して製品が世に出ているのです。(ピープル社 http://www.people-kk.co.jp/)
ある現象に集中し、注意深く観察して分析する。これを「虫の眼」と呼ぶなら、その一方で物事の全体像を大局的に見ることは「鳥の眼」と言えるでしょう。木を見て森を見ないようでは、ひらめきもカラクリも生まれません。
そしてもう一つ。偉大な発明家たちに共通しているのは、「魚の眼」でも物事を見ていることです。カメラなどに使用する光学レンズのうち超広角のものを「魚眼レンズ(フィッシュアイ)」と言い、魚の視野が非常に広いことに由来しているのはご存知でしょう。木を見て、森を見て、さらに森を取り囲むものにも目を向ける。カラクリを知って「なーんだ」と思うことは誰にでもできますが、魚眼レンズの視点を持つ人だけが特許にたどり着けるのですね。