人は、何かを買うために生きているわけではない。よい人と出会い、よい人生を送るために生きている。そこに、消費者があえて口にしない、真の欲求がある。

ビジネスお役立ち知識

スケーリング・クエスチョンで悩む部下を手助けする。

前回、部下の相談にのるためのテクニックとして、「解決志向ブリーフセラピー」をご紹介しました。これはカウンセリングの現場で使われる方法で、本人が自ら問題解決に目を向けていくための「三つの質問」のうち、一つめの「サバイバル・クエスチョン」について書きました。今回は二つめの「スケーリング・クエスチョン」です。

スケーリングとは「尺度化」することです。つまり、部下の悩みや苦しみなどを「数字」で尺度化して、本人が客観的に考えやすくする方法です。具体的な例で考えてみましょう。

部下から、「部署の雰囲気になじめず、社内で孤立している気がして苦しい」と相談された場合。まずは部下の苦しさに共感を示し、その上でこう質問してみます。

「今までで最も苦しかった最悪の状態を0点として、理想の状態を10点とすると、1週間前の苦しさは何点くらいですか?」

「では、今日は何点くらいですか?」

「明日は何点くらいになりそうでしょう?」

この質問の意図は、悩みや苦しみの度合いに本人が小さな「差」を見つけることです。「いつも苦しい」「いつも大変だ」と考えてしまうと、ただ苦しいの一点張りですが、差をつけることで見えてくることもあります。1週間前が4点、今日が6点、明日が7点だと部下が言えば、その差を生んだ要素は何か部下に聞いてみましょう。その上で、もう一度こう質問します。

「明日の点数を0.5点だけ上げる工夫があるとすれば、それは何でしょう?」

ここで部下から自発的な意見が出てこなくても、上司の段階的な質問によって、少なくとも前より客観的な状況判断がしやすくなっているはずです。状況判断ができると、その分ストレスが軽減することは、脳科学の実験でも実証済みのようです。スケーリング・クエスチョンは、部下が頭を整理して冷静な判断をする手助けとなるでしょう。

次回は三つめの「ミラクル・クエスチョン」です。

 

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