人は、何かを買うために生きているわけではない。よい人と出会い、よい人生を送るために生きている。そこに、消費者があえて口にしない、真の欲求がある。

ビジネスお役立ち知識

セレンディピティ ~偶然発見する能力~

昨今、「セレンディピティ」という言葉をよく耳にするようになりました。最近では、書籍「成功者の絶対法則 セレンディピティ」(宮永博史著/詳伝社)が記憶に新しいところですが、もとは1754年にホレス・ウォルポールという作家の作った造語だそうです。辞書によれば、「求めずして思わぬ発見をする能力。思いがけないものの発見。運よく発見したもの」(大辞泉より)とあります。つまり、偶然何かを発見したという“現象”ではなく、何かを発見をする“能力”のことを指すのです。

■セレンディップの三人の王子

インドの突端にあるスリランカ(昔のセイロン島)は、ペルシャ時代に「セレンディップ」と呼ばれていたそうです。この王国を舞台にした「セレンディップの三人の王子」という童話を読むと、セレンディピティについてよく理解できます。3人の王子たちは国王に、見聞を広めるため航海に出たいと申し出ます。国王は、周辺国を踏破し、発見が難しいとされる宝物を持ち帰るように命じて送り出しますが、王子たちは旅の途中、次々と意外な出来事に遭遇し、思いがけない冒険を強いられることになります。しかし、聡明な王子たちは常に果敢に立ち向かい、そのたびに“何か”を発見するのです。たとえば1人の王子は、自分が進んでいる道を、少し前に片目のロバが歩いていたことを知ります。何故なら、道の左側の草だけが食べられていたからです。結局、探し物は見つかりませんでしたが、国王は「3人が立派に成長したことが何よりだ」と言い、求めていたもの以外の宝を手に入れることができたのです。

ふとしたアイデアは、机に向かっているときより、ボーっとほかのことを考えたり、通勤電車に乗っていたり、何か無関係なことをしているときに浮かんできます。3人の王子も、宝物を持ち帰ることだけに囚われていたら片目のロバの歩いた跡に気づくことはなかったでしょう。常に、「何か良いアイデアはないか」「アイデアよ出て来い!」と追いかけていると、かえってろくな考えが浮かばないものです。集中力は大事でも、一つを追いかけすぎると心の目が一点に釘付けになり、見ているつもりで見ていないこともあります。ときには「果報は寝て待て」でいいようです。

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