ビジネスお役立ち知識
顧客を魅了する営業トークは、名インタビュアーが知っている。
インタビューとは話を聞くことではなく、話を聞き出すことである――。民衆のジャーナリストとして敬愛されていた故黒田清氏の言葉です。営業マンは聞き上手であれと言われますが、相手の話にうなずいているだけではただの“聞き役”です。営業トークの最終的な目的は相手の本音や欲求を探ること。聞き上手というより“聞きだし上手”であるべきなのでしょう。
聞き出すには話を掘り下げる必要があります。と言っても質問責めにするのではなく、あるインタビュアーによれば「例えば」と「なぜ」を意識的に使うのだそうです。試合後の監督インタビューを例にすると、「今日の勝因は何でしょう?」→「戦術がうまく機能したことだろう」ここで流してしまうと話が終わってしまうかもしれないので、すかさず「それは例えば●●の起用が……」などと重ねて質問し、より具体的な話題に持っていくのだそうです。
例えばが具体性を導き出す言葉なら、「なぜ」は相手の考えを引き出す言葉だと言います。「なぜ戦術が機能したのでしょう」と聞けば、監督は自分なりの考えを話してくれるはずです。単純なことですが、相手が答えやすいように質問する。無口な相手ならなおさら、「例えば」や「なぜ」でリードしていかないと、話を聞き出すどころか終始一般論で終わってしまうでしょう。
人はそう簡単に本音や欲求を見せません。とくにビジネスともなれば腹の探りあいですから、相手の言葉を鵜呑みにすると判断を誤ることもあります。「こうしたい」「こう思う」といった言葉の背景には何があるのか。何が相手にそう言わせるのか。それを探るために「例えば」と「なぜ」を繰り返し、核心に近づいていくのです。今後、雑誌やテレビなどでインタビューを見るときは質問の仕方にも注意し、良い答えを引き出した質問を営業トークにも取り入れてみるといいかもしれません。