人は、何かを買うために生きているわけではない。よい人と出会い、よい人生を送るために生きている。そこに、消費者があえて口にしない、真の欲求がある。

ビジネスお役立ち知識

男前経営論 ピーチ・ジョンの成功哲学 /野口美佳 (著) 

今から十数年前。小冊子程度の通販カタログを目にしました。外国製のポップな女性下着を扱った若い女性向けのカタログで、言っては何ですがちゃちな作りでした。それから数年後。「ピーチジョン(PJ)」という名前をよく耳にするようになり、数年前のちゃちなカタログはピーチジョンの前身だったことを知りました。と同時に、年商が百億を越える会社に成長したと聞き、社長である野口美佳氏に興味を持ったのです。その野口氏が初めて書いた経営論が本書です。

男性と女性では脳の仕組みが根本的に違うので、経営者としてのビジネス戦略もおのずと異なります。しかし野口氏は「自分は5割男性」と自己分析し、その上で常に女心をつかみとりながら成功の階段を駆け上ってきた様を「男前」と表現しているのでしょう。

今の時代、女性の購買意欲を無視した商売は成り立ちません。ところが、男性が作った通販カタログでは女性の購買意欲を刺激できないと言います。その理由は、やはり脳みその違いでしょう。結論を重視する男性に対し、物語性を重視する女性には、通販カタログにもストーリー性が必要だと書かれています。

たしかに、ピーチジョンのカタログは異彩を放っています。紙面はファッション誌のようで、編集後記などはちょっとした読み物感覚。モデルの私生活や私服を公開し、カタログ全体が一つの物語のようなのです。だから、高価な商品を掲載してもストーリーの一環として受け入れられるのでしょう。

「欲しくなければ買わない、それが女です」。年商170億の優良企業に成長した通販会社の秘密はここにありそうです。

 

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